これまでのビジネスカンファレンスとは一線を画す、地球の未来を拓くテクノロジーの祭典「TechGALA」。先日、名古屋市・STATION Ai(名古屋市昭和区鶴舞1丁目2−32)をメイン会場とし、世界中から、現在の社会をリードする各分野のプロフェッショナルたちが集結するTechGALAが開催されました。TechGALAは、革新的な技術や社会創造などさまざまな文脈で、世界的なネットワークを創出するグローバルイベントです。

Aichi Deeptech Launchpadでは、「研究開発型ディープテック・スタートアップ創業のリアルとVCが語る成長戦略」と題し、TechGALAとのコラボセッションを実施いたしました。今回は当日の様子をお伝えします。 本セッションでは、研究開発型ディープテック・スタートアップを巡り、創業の実態や事業化に向けた課題、投資家視点での成長の要件、 エコシステムの役割などについて、多角的な視点からディスカッションが行われました。

イベント紹介ページ:https://event2026.techgala.jp/module/booth/373489/385426

登壇者(スピーカー)

  • 坂本 剛 氏(QBキャピタル合同会社 代表パートナー)
  • 桂 典史 氏(株式会社INOMER 代表取締役CEO)
  • 大前 緩奈 氏(株式会社IZANA 代表取締役)
  • 名倉 勝 氏(CIC Institute Director)

ディープテック創業の「リアル」と、Jカーブを乗り越えるために

冒頭、スタートアップ側から大学の研究という「理想像」とビジネス化に向けた現実との間にある乖離について共有がありました。この溝を埋めるためには、技術を熟知しながらも社会との接続を担う「橋渡し」的な存在からの協力が不可欠であり、客観的な視点を取り入れながら現場の状況を深く理解することの重要性が紹介されました。

現場を理解する方法として、研究室での検討に留まらず、実際の現場に何度も足を運んだといったエピソードも。そこでの学びはプロダクト開発にも迅速に反映されており、現場でのヒアリングを重ねる中で、当初想定していた「自動化」から「マニュアル(手動)化」へと製品仕様を変更した経験についても触れられました。

その他、「毎日悩んでいるのがリアルです。」という声と共に、日々の経営判断における葛藤についても言及されました。事業の進展に伴い当初の計画が変わる点についてどのように向き合うべきかという質問では、「仮説と検証を繰り返すプロセスにおいて、計画の変更が生じることは妥当な進捗である」との見解が示されました。創業段階で長期の事業計画を固定するのではなく、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

スタートアップ2社からの「創業のリアル」に関する共有が進む中で、その事業を共にする支援者側の姿勢についても触れられました。研究開発型ディープテック・スタートアップ特有の長期にわたるJカーブを乗り越えるには、資金の提供のみならず、起業家の挑戦に対するリスペクトを持ち、一貫した視点と覚悟で伴走し続けることがエコシステムの役割として重要であること。TechGALAという、革新的な技術や社会創造に携わる様々なプロフェッショナルが集まる場において、このメッセージが共有された意味は大きかったのではないでしょうか。

地域における「真の共創」の在り方

「エコシステムビルダー(VC・大企業・自治体等)との連携」というトークテーマでは、スタートアップの成長という文脈に留まらず、人材が不足している地域における大手企業との連携の在り方を考える機会となりました。そこには、「オープンイノベーション」という単語の下で、実態が下請け構造に留まってしまう危険性への強い危機感も含まれます。

例えば、「量産化」という観点で、大学側には製造・量産のノウハウが少ないため、パートナー企業である製造業等の協力が不可欠であるというスタートアップ側からの視点が示されました。こうした連携の機会を単なる形式的なものに終わらせるのではなく、スタートアップ・大企業の双方がリスペクトを持ち、スピード感を持って変革を進める。そういった企業こそが、これからの時代に共に生き残っていくのではないでしょうか。既存の枠組みを超えた双方向のリスペクトに基づいたオープンイノベーションへのマインドから、数年かけて地域に醸成していく必要性が議論されました。

今回のセッションを通じて共有された、スタートアップの成長を支えるためのマインドセットを愛知のエコシステム醸成における一つの指針とし、今後も技術の社会実装に向けた支援に取り組んでまいります。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

愛知県ディープテック推進事業「Aichi Deeptech Launchpad」(2023年度、2024年度、2025年度)は、CIC Institute、株式会社リバネス、フォースタートアップス株式会社が実施運営しています。